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さまざまな企業のSDGs活動

宝ホールディングス株式会社さま

【宝ホールディングス株式会社とSDGs】江戸時代から受け継がれる想いと、現代の多様な価値観を受け入れ、世界中が笑顔あふれる社会に

宝ホールディングス株式会社さま

株式会社ワン・パブリッシング(以下、ワンパブ)と関わりの深い企業のサステナビリティな取り組みについて紹介する本企画。6回目は宝ホールディングス株式会社です。グループ企業の宝酒造が運営する「もっとお酒が楽しくなる」情報サイト『酒噺』のコンテンツ制作で、GetNavi webがご一緒しています。

「宝」と聞いて『タカラcanチューハイ』や『タカラ「焼酎ハイボール」』を思い浮かべる方も多いかと思いますが、実はコロナ禍で誰もが耳にしたことのあるPCR検査にも関わっている会社です。さらには海外事業にも力を入れており、和酒・日本食の魅力を世界中に発信しています。今回は日本の伝統を守りながら、世界中で事業を展開する宝ホールディングス株式会社の財務・IR部の今岡彰房さんにこれまでの道のりと、サステナビリティの取り組みについて教えていただきます。

<プロフィール>
宝ホールディングス株式会社 財務・IR部副部長 今岡 彰房
東京都府中市出身。大学卒業後、1998年宝酒造株式会社へ入社。国内事業、海外事業、人事、事業管理などの職務を経て2021年より現職。サステナビリティ推進業務を担当。

お酒だけじゃない!? バイオ事業にも取り組むグローバル企業

-「宝」と聞くと、『タカラcanチューハイ』や『タカラ「焼酎ハイボール」』などのお酒や本みりんなどを思い浮かべる人が多いと思います。改めて、現在取り組まれている事業について教えてください。

「大きく分けると3つの事業を展開しています。まず1つめは、宝酒造の事業です。創業は江戸時代の1842年、京都・伏見にて清酒の製造を開始したことから始まります。その後、焼酎やみりんを製造し、戦後にはビール事業にも参入していました」

-江戸時代からですか!? さらに宝酒造がビールを製造していたとは……知りませんでした!

「残念ながら1967年にはビール事業から撤退してしまったのですが、1977年には宝焼酎『純』が大ヒット、1984年には日本初の缶入りチューハイ『タカラcanチューハイ』を発売。その後も、芋焼酎『一刻者』やスパークリング日本酒『澪』、糖質ゼロでファンも多い辛口チューハイ『タカラ「焼酎ハイボール」』など時代に合わせた製品を発売し続け、2018年には清酒『松竹梅』が国内出荷No.1となりました」

―どの商品も聞いたことのあるものばかりですね。宝酒造以外には、どのような事業を行っているのでしょうか?

「2つめが日本からの和酒の輸出、現地生産、さらには海外のレストランや小売店に日本の食材を提供する海外事業です。1982年にアメリカで清酒『松竹梅』の製造・販売を開始し、1995年には中国でも製造を開始しています。輸出に関しても、スパークリング日本酒の『澪』は“新しい日本酒”として発売から10年で輸出量は7倍以上に広がり、39カ国で販売されるほど人気の商品になりました。和酒・日本食の魅力を世界中に届けるため、日々事業活動に取り組んでおります。そして3つめが、1979年からスタートしているバイオ事業です。1988年にPCR法による遺伝子増幅システムの国内独占販売権を獲得し、PCR製品の自社製造を行ってきました」

―PCR製品とは、新型コロナウイルスの検査でもよく耳にする、あのPCRでしょうか?

「そうです。唾液からダイレクトに新型コロナウイルスを検出できるPCR検査キットと、抗原簡易検査キットを発売しています。もしかしたらこれを読まれている方の中には、ご利用になったことがある人も多いかもしれませんね」

―この3年間で、国内外たくさんの人がお世話になっていると思います! 現代には欠かせない事業ですが、なぜバイオ事業をスタートさせたのでしょうか?

「バイオ事業は当時、世界の大学や研究機関で研究が活発化し始めた遺伝子工学技術の将来性に着目し、1979年に国内で初めて研究用試薬である制限酵素の製造販売をしたところから始まります。PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)は、新型コロナウイルスの感染拡大により一般の方にも広く知られるようになりましたが、すでにさまざまなウイルスの検査に使われていました。PCR法とは、簡単に言うと唾液などの中に含まれるDNAを短時間に100万倍以上に増幅させる方法のことです。新型コロナウイルスの場合、唾液の中に対象となるウイルスがいれば、100万倍以上に増殖するので『陽性』と判定されます。ウイルスがなければそもそも増殖しないため、ウイルスが検出されず『陰性』と判定されるのです。抗原検査はその場でウイルスの有無を確認できますが、PCR法の場合は正確にウイルスの有無を判定できる一方、対象となるウイルスを増殖させる時間が必要となるため、どうしても検査期間がかかってしまうのです。タカラバイオでは、迅速かつ簡便で安全な検査ができるPCRキットの開発を行い、安定供給に貢献しました」

サステナビリティ活動の始まりは、1979年

―日本の老舗酒造メーカーというイメージでしたが、現代では欠かせないPCR検査や世界中に和酒と日本食を広めているグローバルな展開をしているとは、驚きです! ここからは、サステナビリティに関わるお話も伺いたいのですが、いつ頃からサステナビリティやSDGsに取り組まれていたのでしょうか?

「はじまりは、1979年に『カムバック・サーモン・キャンペーン』という北海道の豊平川にサケを呼び戻す市民活動です。宝焼酎『純』のボトルにキャンペーンのスローガンを刻み、売り上げの一部を、市民活動支援のために寄付しました。さらに1989年には今では当たり前になっている缶のステイオンタブ(※1)を日本で初めて採用することで、プルタブゴミを減らすこともできました。2004年からは自然環境の大切さを子どもたちに伝える『田んぼの学校』というイベントを実施したり、人手不足が深刻な農家さんに当グループの社員が訪問し『寶CRAFT』で使用する果実の収穫をお手伝いするなど、幅広い領域で地域貢献に取り組んでいます」

※1 ステイオンタブとは、缶を開けても容器からタブが離れない構造になっているもの。ステイオンタブが採用される以前は、タブと本体が切り離されるプルタブが主流だったが、ポイ捨てによるケガなどの社会問題や環境への影響が問題視されていた。

―1979年ですか!? 「サステナビリティ」という言葉が広まる随分前から、持続可能な社会づくりに貢献されていたんですね。現在グループで注力されていることを教えてください。

「2020年5月に『宝グループ・サステナビリティ・ポリシー』を策定し、10の重要課題を選定しました。

コミュニティに関わる部分をご紹介しましょう。京檸檬プロジェクトと共同開発した『寶「FARMER’s STORY」京檸檬サワー』は、生産者が手間暇をかけて育てた「京檸檬」を、宝酒造の技術力を駆使して果皮や種まで余すところなく丸ごと使用した商品です。こちらの商品はただ製造・販売するだけでなく、クラウドファンディング「Makuake(マクアケ)」でも販売を行いました。さらに売り上げの一部をレモンの苗木500本分の購入費用として寄付しています。他にも、ほどよいお酒感が楽しめると女性からも好評な『タカラcanチューハイ「すみか」』は、本来捨てられるはずだった国産果実の果皮も利用。栽培農家さんの収入UPにも貢献しています。これらの取組を通じて、地域ブランドの向上に貢献したと食品産業技術功労賞(地域創生部門)を受賞することができました。」

―素晴らしい取り組みですね。「環境」に関わる取り組みについても教えてください。

「商品を作り、販売する企業として、温室効果ガスの排出を抑えることが大切と考えています。2018年を基準年として、2050年には二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指し取り組みを進めています。ハードルの高い目標ではありますが、重油ボイラーのガス化や太陽光パネルの採用、バイオマスボイラーの導入など、一歩ずつ実現に向けて進めているところです」

―こうした高い目標を達成するためには、サステナビリティ活動に関する社員教育も必要だと思いますが、どのように取り組まれているのでしょうか?

「定期的にeラーニングテストを実施したり、当グループの研修施設『宝ホールディングス歴史記念館』で講習会を実施したりしています。サステナビリティに関するメニューもあり、のべ2398名の社員が受講しています。社内での活動は少しずつ浸透してきているのですが、サステナビリティな取り組みをお客様や投資家などステークホルダー全体に伝えきれていないという点は、課題に感じています。今後は、世の中の最新情報や価値観をキャッチアップしていきながら、我々の取り組みの発信にも力を入れていきたいです」

新型コロナウイルスによって変化した飲酒スタイル

-少し話はそれますが、コロナ禍によって「酒文化」が変化したように感じます。酒造メーカーとして、この3年で変化を感じたことがあれば教えてください。

「新型コロナウイルスの影響によって、料飲店向けの酒類事業は苦戦を強いられました。日本だけでなく、海外のロックダウンは大きな影響がありました。大人数での宴会や2軒目3軒目とはしご酒を楽しむといったコロナ以前のスタイルに戻るには、まだ少し時間がかかるのではないでしょうか。一方で、家飲みやオンライン飲み会といった新たな飲酒スタイルが登場したことで、家庭用需要がグッと高まったのも事実です。飲み方や文化が変わっても、お酒が人と人をつなげるコミュニケーションツールであることに変わりはありません。当グループはこれからも時代に沿った商品を開発し、お酒を通じて豊かな食生活に貢献し続けたいと考えています」

-先ほど「発信」というキーワードも出てきましたが、ワンパブと共に『酒噺』というウェブメディアで日常的なお酒の楽しみ方から文化や歴史まで、幅広い情報を発信していますよね? 御社の考える豊かな食生活について詳しく教えてください。

「『酒噺』では、積極的にお酒文化の啓発を行っています。それ以外にも、『タカラ本みりん』を使ったレシピコンテストを実施したり、2021年までに47回のオンライン・オフライン料理教室を実施したり、幅広い活動も行ってきました。さらに、海外でも和酒・日本食の文化発信を強化し、イベントに出展、テイスティングセミナーなどにも力を入れています」

-海外の方にはどのような部分が支持されているのでしょうか?

「日本食の食材の豊富さや味だけでなく、ヘルシーさが評価され人気が高まっています。海外における日本食レストランの店舗数も2021年には16万軒と、2013年と比べるとコロナ禍でも3倍近く成長している市場であることがわかります。2013年に『和食』がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、今後さらに浸透していくことが予想されます。グローバル事業に取り組む私たちとしても、和食とともに和酒も広げていきたいです」

-和酒を輸出して市場を拡大していくだけでなく、日本食や日本文化と共に広めていくことが大切なのですね!

「日本でワインが飲まれるようになった背景を考えてみるとわかりやすいですが、まずは洋食が広がってから、洋食に合うお酒としてワインが浸透していきましたよね。和酒も一緒で、いきなり『このお酒美味しいですよ』と伝えても、楽しみ方を知らなければ広がりません。どんな日本食と一緒に嗜むのが良いのか、日本食をセットにして世界中へ広めていきたいと思います」

変化の多い時代でも変わらない「宝らしさ」を未来へ

-最後になりますが、今後の目標を教えてください。

「現在、宝酒造と宝酒造インターナショナルグループ合計の海外売り上げ比率は5割近くになっており、海外市場の開拓が進んでいるところです。今後はさらなる海外戦略の展開を重要視しています。日本の食文化を世界へ広げ、世界における和酒・日本食のリーディングカンパニーを目指していきたいです」

-今回のお話を伺って、5年後、10年後には世界中でタカラさんのお酒が楽しまれている未来が想像できました。市場を広げていく中でも、先ほど教えていただいた『10の重要課題』は鍵になりそうですね。

「お時間も限られているのですべてについてご紹介はできませんが、10の重要課題の根底にあるのは、当社のビジョン『笑顔で繋がる豊かな暮らし〜Smiles in Life』です。Lifeとは、直訳すると「暮らし」や「人生」であり「生命」です。今や国内だけでなく、グローバル事業やバイオ事業といった多様な価値を提供するグループ会社に発展しました。社員ひとりひとりの方向性を合わせ、主体的に取り組みながら世界中を笑顔で繋げていきたいですね」

 

企業情報

清酒メーカーとして江戸時代の1842年に創業し、現在は国内での酒類・調味料・酒精事業、和酒の輸出・現地生産や日本の食材の販売を手がける海外事業、PCR検査などに取り組むバイオ事業を展開。自然との調和を大切に、発酵やバイオ技術を通じて、人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献している。