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さまざまな企業のSDGs活動

富士通クライアントコンピューティング株式会社さま

【FCCLとSDGs】デジタル分野でも“人に寄り添う”ことを大切に、どんなお客様にも喜ばれる価値を創造する

富士通クライアントコンピューティング株式会社さま

株式会社ワン・パブリッシング(以下、ワンパブ)は、さまざまな企業のSDGsへの取り組みを取材し、その活動を紹介しています。8回目は、富士通クライアントコンピューティング株式会社(以下、FCCL)です。2016年に富士通株式会社の100%子会社として事業を分社化し、2018年にはレノボ・ジャパン合同会社と富士通とのジョイントベンチャーとなりました。約689gの14.0型ワイド 世界最軽量モバイルノートPC「FMV LIFEBOOK UH-X/H1」(※1)をはじめとしたメイドインジャパンだからこそできるPCの開発・製造、販売しています。

(※1)14.0型ワイド液晶搭載ノートPCとして世界最軽量。2023年1月24日現在、FCCL調べ。

私たちにとっていまやパソコンは日々の生活に欠かせないインフラとなりました。今回は、FCCLの代表取締役社長である大隈健史さんと執行役員常務の広末庸治さんに、サステナブルな取り組みやこれからのFCCLについて伺います。

<プロフィール>
(左)富士通クライアントコンピューティング株式会社 代表取締役社長 大隈 健史
千葉県出身。早稲田大学大学院理工学研究科を卒業後、McKinsey&Companyで日本支社・フランクフルト支社に在籍し、8年間コンサルティングに従事。その後、Lenovo Groupに転じ、香港・東京・シンガポールにて、9年間にわたりアジア・日本における法人向け販売・マーケティングの要職を歴任。2021年4月より富士通クライアントコンピューティングの代表取締役社長に就任。

(右)富士通クライアントコンピューティング株式会社 執行役員常務 広末 庸治
神奈川県出身。東京電機大学工学部Ⅰ部電子工学科を卒業。1999年より富士通で13年間パソコン・ディスプレイなどの企画・開発に携わる。その後、ドイツのFujitsu Technology Solutions GmbHに赴任し、4年間にわたりデスクトップパソコン製品開発の現地責任者として従事。2017年より富士通クライアントコンピューティングに転じ、2022年より執行役員常務/CTOに就任。

一台のPCができるまでに約1年! エシカル視点で行うPC製造とは?

―はじめに御社の創業経緯と事業内容について教えてください。

大隈「当社は2016年に富士通株式会社の100%子会社として、富士通のPC部門が独立する形で設立され、2018年にはPC出荷台数世界No.1(※2)のレノボと富士通のジョイントベンチャーとして新たなスタートを切りました。事業内容としては、ノートPCやタブレットなどあらゆるクライアントコンピューティングに関わる製品の製造から販売までを手がけています」

(※2)2023年Q1、Canalys調べ。

―クライアントコンピューティングとはどのような意味なのでしょうか?

大隈「私たちは『クライアントコンピューティング』という言葉を、お客さまに寄り添って情報処理や処理能力を提供することと考えています。私たちが取り扱う主な製品はPCですが、今後PCのありかたはどんどん変わっていくでしょう。お客さまに求められているコンピューティングを日々進化させながら、価値ある商品を創出し続ける、それが使命だと思っています」

―御社の販売台数割合を見ると、40%が国内法人ビジネス、39%が海外ビジネス、21%が国内コンシューマサービスなんですね。国内の法人需要がかなりの割合を持っている、と知りました。

大隈「意外に感じられるかもしれませんが、PCは事務機器がメインです。もはや電気・ガス・水道と並び、生活インフラの一部といっても良いレベルでしょう。 FCCLだけではなく、PC市場全体で同じような割合で推移しており、年間1200万台のPCが販売されているうち、約3分の2は法人向けと言われています」

―すごく初歩的な質問になってしまうのですが、一台のPCが市場に出るまでの流れを教えていただけますか?

大隈「すべては商品企画から始まります。商品のコンセプトが決まり次第、調達がスタートします。調達とは、CPUやメモリといったPCの心臓部分から目には見えないくらいの小さな部品まで、色々なパーツを仕入れることです。その後、試作機を作って検討を重ね、調達した部品を工場に集め製造し、市場へと流通させます。製品によってそのスピードはまちまちですが、平均すると一台のPCが店頭に並ぶまで1年ほどかかりますね」

―1年も……なんだか毎日使うPCが愛おしく感じますね。

大隈「そう言っていただけると私たちもうれしいですね(笑)。PCは、いわばスケールビジネス。売った分だけ売り上げに繋がりますが、社会的な面を考えると、『安く仕入れて安く売る』ということが必ずしも正解ではないと私たちは考えています。大切なのは、その製品が安全で、ユーザーの皆様が安心して使えるということ。そのためにはどんな部品を使うのかなど、調達から環境に配慮した部品を選ぶことが求められるんです。調達の際には、さまざまなサプライヤーさんと協業し、その企業がどんな状況下で製造しているかまで把握するグリーン調達に取り組んでいます」

―グリーン調達についても詳しく教えてください。

大隈「グリーン調達とは、関係するすべてのサプライヤーさんに協力をいただき、バリューチェーンの中で環境に悪影響のある物質を使わずに製造できていることを証明するものです。製造過程で有害な物質を排出していないか、部品の数だけ把握する必要がありますが、お客さまに安心してPCを使っていただくためにも、そして当社の製品を信頼していただけるためにも徹底した確認を行っています」

会社にとって「当たり前の責任」を果たすことが、社会貢献になる

―グリーン調達は私たちが安心してPCを使うために必要なものだったのですね。持続可能な社会の実現のために、PCを利用する一個人としてできることには、どんなことがあるのでしょうか?

広末「FCCLのPCをご購入いただいた方でしたら、ぜひPCリサイクルをご活用ください。お客さまが使わなくなったFCCLのPCを当社が回収し、再資源化する取り組みです。FCCLでは、PCリサイクルマークがついている製品については無料で回収しています。回収後には、まずPCに残っている情報を破棄するため、HDDなどを粉砕・溶解しデータ処理します。その後、金や銅といった再資源化可能な部品を取り出し、金属やプラスチックなどもペレット化し再利用しています。これは、自社工場だけでできるものではなく、外部の企業と連携しながら実施している取り組みです」

―製品を作るだけでなく、使わなくなったPCの再資源化もメーカーさんが実施しているとは知りませんでした。御社の製品には、リサイクル材料も使われていたんですね。

大隈「1999年から当社製品にはボディの一部に再生プラスチックを採用しています。さらに、2022年に発売したFMV『CHシリーズ』では、海洋廃棄物から再生したプラスチックを製品の一部に採用しました。またPC以外の部分では、梱包時に用いるプラスチックの緩衝材を紙素材に切り替えるなどの取り組みも行っています。PCは、ある意味存在しているだけで環境負荷をかけてしまう製品でもあります。しかし、現代の私たちの生活には欠かせません。だからこそ、社会とのバランスをとりながら環境保全に対する課題感を持って取り組んでいきたいですね」

―存在しているだけで環境負荷をかけているというのは、あらゆる製造業にも言えると思います。何か消費者として取り組めることはないのでしょうか?

広末「リサイクルだけでなく、1日でも長くPCを使い続けることかと思います。当社の製品は、他社製品に比べ、ユーザーの皆様に長く使っていただけている、というデータが出ています。これは、国内製造にこだわる一つの理由です。工場が国内にあるということは、修理拠点も多く設けることができるということで、お客さまの色々なニーズに柔軟に対応することが可能になるわけです。調子が悪くなったらすぐに廃棄し新しいものを、という考えは環境負荷に直結しますので、私たちは少しでも長く弊社のPCを使ってほしいと考えています」

会議における紙資料の無駄を省くために生まれた「クアデルノ」

―御社が販売する電子ペーパー「クアデルノ」は、個人のペーパーレス化にもぴったりな商品ですよね。どのようなきっかけで生まれた製品なのでしょうか?

広末「当初はビジネスパーソン向けに開発した製品でした。弊社では紙の文化が根強く、資料を印刷、配布して、機密事項が書かれたものはすべて回収してシュレッダーにかける 、という流れが一般的でした。しかし、これは準備も手間ですし、会議後も手間がかかっていたんですよね。同じような課題を抱えた企業も多かったので、『ペーパーレス』を実現し会議の無駄を省きたいという思いから企画がスタートしました。また、メモ帳はバックアップを取ったり保護することもできず、失くしてしまえばおしまいという問題もありました。しかし、『クアデルノ』は、PCやクラウド上で手書きのノートを管理できるため、アナログに存在した問題もクリアになる。サステナブルな上に、ユーザーメリットもあるわけです」

―法人向けツールとして開発が始まったんですね。現在は、個人向けツールとしても人気ですし、ワンパブが発行する雑誌『GetNavi』の文房具総選挙2022でも人気を集めた商品でした。

大隈「元々はビジネスパーソン向けの商品でしたが、いざ発売してみると学生の受験勉強に使っていただける機会も多いとわかりました。それならば学習面の機能をアップデートしようと、今年新たに暗記機能を追加。学生の試験勉強や、ビジネスパーソンの資格の勉強にも活用できるよう、機能を強化しています。製品自体を新しくするのではなく、ユーザーの声を踏まえてファームアップさせることができるのも、『クアデルノ』の一つの特長といえるでしょうね」

―リリースして終わりではなく、発売後のリアクションを製品に反映し、アップデートするって素晴らしいことですね。このようなイノベーティブな商品の開発は、社員同士の活発なコミュニケーションがなければできないことなのでは? と思うのですが、社内ではどのようにアイデアを生み出しているのでしょうか。

広末「2018年に現在のオフィスに移転したのですが、完全フリーアドレスを採用し、どこでも好きな場所で働けるようにしました。またコラボレーションスペースを多く設置し、社員のクリエイティビティを刺激できるようなオフィスづくりを心がけています」

―オフィス環境から変えたんですね。コロナ禍でリモートワークも増えましたが、御社ではどのような変化がありましたか?

大隈「リモートで効率的な働き方ができるようになった一方で、コミュニケーションが希薄になってきたというのも事実です。最近では、オフィスへの回帰も促しており、出社してもらったからには部門間などのコミュニケーションが積極的に行えるような環境を整えています。多様な働き方ができるよう、私たち経営層は積極的にオフィス環境の改善に取り組んでいます」

寄り添われる人にとって、好ましい寄り添い方を

― ESGとも関わる部分かと思いますが、社員の方々は柔軟な働き方を実現できているんですね。御社のサイトでは「人に寄り添う」がキーワードとしてよく出てきています。改めてFCCLさんが掲げる「人に寄り添う」に込められた意味を教えてください。

大隈「この言葉は、私が社長に就任する以前から大切にされていたものです。PCを使っていない人も使っている人も、また子どもから高齢者まで、どんな人にも寄り添い、デジタルの裾野を広げていきたいと考えています。『人に寄り添う』といっても、『寄り添われる人』によって関わり方は変わってきます。例えば、PC操作に不慣れな方には『ふくまろ』のような柔らかいキャラクターを使ったアシスト機能でより便利な生活ができるように、学生さんであればオンライン会議で使える『Umore(ユーモア)』という顔補正サービスで忙しい日常に寄り添います。もちろん、ハイスペックなPCが欲しい、デザインが素敵なPCが欲しい、環境にやさしいPCが欲しいなど、どんな方にとってもあまねく寄り添えることを目指しています」

―価値観がどんどん多様化している時代なので、お客さまのニーズに合わせてデジタルの裾野を広げるということですね。今後はどのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか?

大隈「FCCLは、富士通とレノボのジョイントベンチャーとしてビジネスを加速させるために、日本に根ざし、企画から生産、サポートまで一貫した国内ブランドであるという誇りとプライドを持って進めていきたいです。SDGsの取り組みについても、HP上で工場でのCO2や水資源の使用量の公表を始めました。今まで“当たり前”と思って公表していなかったことも、どんどん発信して取り組みを見える化していきたいです」

企業情報

富士通クライアントコンピューティング株式会社(FCCL)。2016年に富士通株式会社のPC製造・販売部門が独立する形で設立。2018年には、レノボグループにも株式譲渡が行われ、レノボと富士通のジョイントベンチャーとなった。FCCLだからできるメイドインジャパンの高い製品品質と、企画・製造・サポートまで国内で一貫した製造体制を取り、個別ニーズにも応じたスピーディかつ柔軟な対応が多くのユーザーから支持されている。