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さまざまな企業のSDGs活動

キーン・ジャパン合同会社さま

【キーン・ジャパン合同会社とSDGs】美しい地球の大自然で遊び続けるために、自分たちが「今」できることをやる

キーン・ジャパン合同会社さま

この企画では、株式会社ワン・パブリッシング(以下、ワンパブ )の事業活動を支えるステークホルダーやパートナー企業様のSDGs活動を紹介していきます。 4回目は、アウトドア・フットウェアブランド『KEEN』を運営するキーン・ジャパン合同会社です。

キーン・ジャパン合同会社は、ファッションメディア『mer(メル)』とのタイアップなどを通じ、ワンパブとの関係性を深めてきました 。アウトドアやファッションイメージの強いKEENですが、“社会をよりよくしていくこと”をモットーに掲げ 、国内外での災害支援や環境負荷の少ない製品の販売など 、創業時からグローバルな視点で 社会貢献や環境保全に取り組まれています。その活動内容は、SDGsの領域を飛び越えているとさえ言えるもの。 KEENが目指すのは、一体どんな未来なのでしょうか?今回は、2011年のキーン・ジャパン合同会社創立時よりジェネラルマネージャーを勤め、2022年10月より米国キーン本社 Global Hybrid.Life(ライフスタイル部門) ジェネラルマネージャーに就任した竹田尚志さん にお話を伺いました。

<プロフィール>
米国キーン本社 Global Hybrid.Life(ライフスタイル部門) ジェネラルマネージャー 竹田尚志
日本法人キーン・ジャパン合同会社のジェネラルマネージャーを経て、2022年10月より米国キーン本社 Global Hybrid.Life(ライフスタイル部門) ジェネラルマネージャーに就任。サーファーであり、ミュージシャンでもある。

2003年「つま先を守るプロダクト」から始まったKEEN

__ 2003年にポートランドで創業されたKEENですが、日本法人ができたのはいつ頃なのでしょうか?

「日本国内では、創業の翌年である2004年から代理店を通じてフットウェアの販売が行われています。2012年には日本で最初の直営店が原宿にでき、2013年にはキーン・ジャパン合同会社を創設しました。それ以降は、僕たちが窓口となり日本での販売を手がけています」

__2013年は、アウトドアを楽しむ人が少しずつ増えてきた頃ですよね。 その頃から続くKEENの定番商品はありますか?

「日本で一番知られているのは、世界で1000万足以上販売されている創業モデルの『ニューポート』と、2014年に創業者の息子(ローリー・ファースト Jr.)が完成させた『ユニーク』でしょう。どちらも履き心地が良いと、何度も購入いただくリピーターさんがたくさんいらっしゃいます 。またサンダルは真夏だけのフットウェアでしたが、最近は温暖化の影響もあり、季節を問わず楽しむ人も増えてきました」

__『ユニーク』は雑誌などでもよく取り上げられていますし、アウトドアアイテム というよりもファッションアイテムとして認識する人も多いですよね。おしゃれなセレクトショップでKEENさんのサンダルをよくお見かけします。

「KEENがアウトドアとファッションを融合させたのは、実は日本が最初なんですよ。90年代頃から原宿のセレクトショップを中心に、アウトドアブランドの洋服や靴をおしゃれに着こなす文化が広がってきました。こういった面を切り取ると、日本はファッションを高いレベルで市民化できている国だなと思いますね。世界的にファッションとアウトドアが融合し始めてきたのは最近のことですから 」

__なるほど! アウトドアブランドの商品は、機能面が優秀なうえにオシャレだと、愛用している人が多い印象があります。

「僕たちはあくまでもアウトドア・フットウェアブランドなので、アウトドアカルチャーを伝えることを大切にしています。最近では、誰もがキャンプなどを日常的に楽しむようになりました。こうした文化が広がってきたこともあり、アウトドアウェアを街中で着用することが自然に広まってきましたよね。実際、アウトドア用、タウン用など、目的ごとに洋服や靴を買っていたらクローゼットはパンパンになってしまいます。 じゃあ、自分のお金を何に使うか考えたら、デザイン面や機能面も優れていて、街でも山でも長く履ける丈夫なシューズがいい 、となってきているのでしょう。消費者も、欲しいものを手当たり次第買う時代から、いくつものシーンで使える製品を厳選して買う時代に変わってきたと思います」

未来を守るために必要な「KEEN EFFECT(キーン・エフェクト)」とは?

__選ぶという点においては、御社が掲げるメッセージKEEN EFFECTも参考になりますよね。詳しく教えてください。

「KEEN EFFECT は、僕たちが社会活動を行う上で大切にしてるスローガンです。『Consciously Created(環境負荷の低減)』、『Taking Action(能動的な行動)』、『Giving Back(社会への還元)』3つのテーマがあります。僕たちはアウトドア・フットウェアブランドなので、地球環境が悪化すると、自分たちが暮らし遊ぶ大切な地球がなくなってしまいます。アウトドアフィールドを守り、未来にも繋げていくためにできることは何かと考えながら行動しているんです」

 

__ホームページではKEEN EFFECTについて、さまざまな取り組みが紹介されていますが、具体的な例をいくつかご紹介いただけますか?

「グローバルな取り組みでいうと、約4割の製品を自社工場で生産しています。自社生産なんてコストが見合わないので、どのフットウェア企業もやりません。 利益だけを追求するなら、外注の工場を使い、大量生産した方がずっと効率がいい。 もちろん自社工場での運営だって商売であり、その商売自体が地球に負荷をかけていることは間違いない。だけど、僕らがそれをやめたところで他の誰かはビジネスを続けるはずです。だったら、僕たちはできるだけ長持ちして、環境負荷が少なくて、働く人にも消費者にも優しい商品を自分たちの工場で作っていくと決めたんです。僕らが出した利益を社会に還元していく、というのが基本的な考え方なんです」

__すごい……! 日本独自の取り組みもあるのでしょうか?

「数え切れないほどありますよ。例えば、日本で初めてマッチング・ドネーション(※1)を行いました。他にも、社内制度のひとつとしてボランティア休暇制度を導入しています。ついこの前も 、社員がボランティア休暇を使って青森と静岡で災害支援活動をしてきました。泥かきや、浸水した家屋の現場復帰などです。社員の中ではボランティア活動を行うことが、当たり前のこととして根付いているんだと思います 」

(※1)マッチング・ドネーションとは、募金手段のひとつ。KEENパートナーである災害支援ネットワーク「一般社団法人OPEN JAPAN」への寄付と同額の現金または物資などをKEENも寄付する仕組み(例えば1万円寄付すると、KEENも同額を寄付し、寄付額が2万円になる。過去にはマッチング・ドネーションで1000万円の寄付を達成している。)

__竹田さん自らも災害支援にいかれたりするんですか?

「行きますよ! もともと金融業界で働いていましたが、2011年の震災時は、石巻でボランティアをしました。その時の経験が今の活動にもつながっているんです。 災害時、行政は公共インフラの整備は対応してくれます。しかし“〇〇さん家の修理”など個人の領域までは手が届きません。頼れる家族や親戚が遠方にいて助けてもらえない人もいる。 このように社会インフラでは解決できないことをするのが、ボランティアの役目です。とはいえ、 最近は身体を動かすことよりも、次世代にどう伝えていこうかとか、どんな仕組みがいいか、頭を使う役割の方が増えてきましたね」

__ちなみに、KEENさんでは2004年のインドネシア・スマトラ島沖地震では、100万ドル(当時レートで約1億円)を寄付していますよね。全世界で働く人たちが同じベクトルを向いているのが素晴らしいなと思いました。御社ではどんな人材が活躍されているんですか?

「KEENに興味を持ってくれる人や、働きたいと入社を希望する人の中に『働きながら社会の役に立ちたい』『血の通ったビジネスをやりたい』と考える人が増えてきましたね。一緒に働いている社員たちも、社会貢献や環境保護活動をやりたいからやっているって人がほとんど。ボランティアと同じで、みんな自発的に社会に感謝を伝えたいと考えてくれているようです」

SDGsがあってもなくても、やるべきことは変わらない

__御社の取り組みを伺うと「SDGsだからやろう」という感じはまったくなく、未来のために今やるべきことをやるという、 自然発生的な活動に感じられます。

「僕個人としては 、 SDGsには違和感しかないんですよ。社会貢献や環境保護って、自然発生的に出てくるもの。誰かからトップダウンで言われることではないですよね。僕たちはプライベートカンパニーなので、マーケットや株主からも社会貢献活動を押し付けられるようなことはありません。大切なのは自然に動くこと。どの企業も自分たちが正しいと思うこと、社会に還元できることを続けていけば、社員も会社も成長できると考えているので」

__ SDGsも「〇〇しなさい」と言っているものではありませんからね。目標をどう達成するかは、各個人に委ねられているので、トップダウンで言われることじゃないというのは納得です。

「SDGs に取り組もうとしている大手企業の何割が、現場を知っているか? ってことですよね。それを知らないまま、地球を守ろうって言っているのはポーズでしかない。バブルの頃に流行したメセナ活動的(※2)で、みんなが“右ならえ”なんですよ。いずれも良いことをしているはずなのに、メンタリティは変わっていないと思ってしまいます」

(※2)メセナとは、フランス語で「後援」を意味する言葉。企業による芸術文化支援活動のことで、CSRの一環として取り組んでいる企業も。具体的には、音楽会や芸術展などに企業名や商品名を冠して開催したり、財団を設立して芸術文化活動を援助したりするものがある。

__どうしたら良いの でしょうか?(笑)

「ヒントになるのは、『プロボノ』という考え方。各人・各社が得意なこと、世の中で必要とされているものを、社会貢献に使っていくだけでいいんです。災害支援を例に挙げると、本業は建設業の人なら重機を使って瓦礫撤去ができる。 医療機関で働いているなら病人の手当ができる。英語が得意な人なら被災地に暮らす外国人の通訳ができる。 本業ではお金をもらっていることを無償で提供するだけでいいんです」

__自分の得意なことを活かしてボランティア活動するってことですね。

「そうです。どんな人でも企業でも、活躍できるフィールドが探せば絶対にあるはずですから。KEENでは、被災地にシューズの提供も行っています。他にもボランティアスタッフが駆けつけるだけでなく、重機プロボノ・チームと一緒に瓦礫撤去を手伝ったり、自然災害で孤立した住人たちをカヌーで救出したり、マッチング・ドネーションで支援したり、さまざまな支援をしています。どうしようと悩んだら、自らが正しいと思うことをしていけば、世界はポジティブに変わっていけると思いますよ」

※【DISASTER RELIEF】「チカラをヒトツに」 真備町からの緊急災害支援報告

https://youtu.be/oe_PAyfA10k

社会貢献することが「普通」な世の中へ

__社会貢献や環境保全について、日本で暮らしていると考えるきっかけすらない人も多いように感じます。今後どんな社会になっていくことが理想だと考えますか?

「今の日本は、どの世代も自分のことで精一杯になっているんですよね。経済が不安定な時代が続いており、その結果、 社会のために何かしようと考えたり、行動できたりする人があまりにも少ないと感じます。多くの人が、税金払っているんだから、自分のやりたいようにやっていいだろ、という考えになりつつある 。もっとカジュアルに『コミュニティ活動』ができると社会はもっと良くなっていくと感じています」

__コミュニティ活動ですか?

「僕自身がアメリカに長くいたことも影響していると思うのですが、向こうって自分の地域で何かあれば、そこに住む住民や消防団が協力するのが当たり前。 要するに、地域そのものが『コミュニティ』であり、支え合って生活しているんです。 でも、今の日本って横のつながりが薄くなって、ゴミ当番すら嫌がる人が多いでしょ?(笑)自分のためが95%で、社会のための活動は5%程度しか意識してないんじゃないかと思うんですよ」

__自分の生活を振り返ってみても、ほとんどコミュニティ活動に参加できていないと感じます 。

「日本に暮らす多くの人が、せめて30%は社会や未来のために活動するのが当たり前になると、社会全体の意識が大きく変わるでしょう。そのきっかけが、身近なコミュニティの参加でいい。まず、 社会活動に興味を持って行動していくことが、社会をよりよくすることにつながってくると思いますよ」

企業情報

アメリカポートランドを拠点とした、独立資本系アウトドア・フットウェアブランド。日本法人の創設は、2013年。「KEEN」 を通じて“社会をよりよくしていくこと”を掲げ、創業時から災害支援や環境保護活動、ジェンダー平等の支援など幅広い活動を実施している。